小牧基地オープンベースのアレコレにモヤっとボールを投げてみた

来る2018年3月3日(土)、航空自衛隊小牧基地でオープンベース(一般への基地解放。いわゆる航空祭)が開催されます。
2015年から続いていたブルーインパルスの展示飛行は今年行われないということなのですが、その経緯にはいろいろあり、その中でなんかモヤモヤっとしたものがあるのでちょっと書きたいと思います。

まずは今回の経緯をザックリと

今回のブルーインパルスが飛ばない理由の自衛隊の公式な発表は「機材の確保ができなかった」というものだったので、ここから先の話しはあくまでも推論でしかないのですが、という前置きを入れつつ説明すると、もともと小牧基地ではブルーインパルスの展示飛行は行われていませんでした。
それは地元の反対によるものでした。
そんな中、2015年のオープンベースで44年ぶりにブルーインパルスの展示飛行が行われました。
しかし地元民に考慮し、編隊航過のみで垂直系の演目はないものでした。
2017年までの3年間は同じような内容で展示飛行は行われていいましたが、今年、地元の反対団体が自衛隊を告発したのです。
その内容は「ブルーインパルスの曲技飛行は航空法に違反している」というものでした。
これをうけ、自衛隊側は今年のブルーインパルスの展示飛行をとりやめました。
これに対し、いろんな人がブルーインパルスが飛ばなくなったことに対し声をあげ、反対団体に対し文句を言っています。

小牧基地ブルーインパルス

そもそも、じゃぁなんで小牧基地はこんなにブルーインパルスのことでやいやい言われるのでしょうか?
それは小牧基地の立地環境と過去の出来事が理由となっています。
他の航空自衛隊の基地と違い、小牧基地は街中の住宅が密集している場所にあります。
ですからなにかあったときの被害は他の基地にくらべ大きくなることが予想されます。
そして、なにかあったんです、昔に。

http://komakikiti.seesaa.net/article/456962491.html
こちらのブログからの引用になりますが、

昭和27年5月に味美上ノ町での米軍ジェット機の墜落、昭和36年6月にエンジン故障による戦闘機の墜落、昭和42年2月に空中火災により二子山公園へ戦闘機が墜落、同年10月にはエンジン故障により宮町に戦闘機が墜落するなど、昭和27年から昭和58年までの間に、米軍、自衛隊機の春日井市での墜落事故6件を含めまして21件の事故が発生しております。 ※記事参照元 日本共産党春日井市議団 【12.10.14】小牧基地と防衛大綱(6月議会の一般質問から)

ということらしいです。
この戦闘機の墜落事故をきっかけにして基地のそばにあった小学校を移転させたという経緯もあるのです。

住宅が密集していて、過去に戦闘機の墜落で被害を受けた地域だから。

これが反対派のベースにあるわけです。
これはわかる気がします。

昨今、カメラやSNSの普及により、航空ショーの人気も高まってきました。
なかでもブルーインパルスは派手でファンも多く、全国からそれ目当てでファンが集まってきます。
当然「小牧ではブルーインパルスはなぜ飛ばないんだ」という声もあがりました。
その声が大きくなってきたので、自衛隊としてはおとしどころを模索しながら、ブルーインパルスを復活させました。

今回の反対派のロジック

今回、反対派は『航空法の違反』ということで告発しています。
ブルーインパルスは危ないから飛ぶな」と言っているわけではないんですね。
小牧基地県営名古屋空港と滑走路を共有しています。
ブルーインパルスの反対派は名古屋空港の存在そのものは否定していません。
民間機も飛行機ですから墜落の危険はあります。
しかしそれは反対していない。
ということは、航空機事故は起こりうるけれどもそれに対して反対するほどの危機はない、と考えてるわけです。
ブルーインパルスは曲技飛行をしますので、通常の飛行をするよりも墜落の危険は高いように思われます。
だから『ブルーインパルス反対』なんですね。
そして2015年の復活からブルーインパルスは曲技飛行はしていませんので、今回は『住宅密集地での曲技飛行にあたる演目がある』ということで航空法違反の告発をしたわけです。

つまり、反対派の言いたいことはこうです。
住宅が密集したところで曲技飛行なんて危ない!←わかる
安全?そんなこと言ったって昔戦闘機が事故を起こしたじゃないか!←わかる
去年のブルーインパルスは曲技飛行だ!←え?

ということで、反対派のおかしなところは『去年のブルーインパルスの展示飛行は曲技飛行にあたる』という主張だけなんですね。
おそらく、自衛隊もこの点においては反論の余地ありということで、ブルーインパルスの展示飛行を当初は予定していたと思います。
しかし、折り悪く、2月6日に陸上自衛隊のヘリが住宅地に墜落。
幸い住民に死者は出ませんでしたが、この事故が起こったので「今年は仕方がない。中止しよう」ということになったのではないかと。

モヤモヤポイント

反対派は近隣の住民の安全を危惧してブルーインパルスの曲技飛行に反対しているわけです。
これはまっとうな意見。

そして今回、ブルーインパルスが飛ばないことに関して上がっている声のほとんどは近隣の住民以外のものです。
地元住民が「私たちのことを心配してるけど、大丈夫だから。気にしてないから」というのはわかるんですが、そうじゃない。
地元住民以外が「大丈夫だから」と言っている。
地元住民以外があげられる声は「ブルーインパルスが見たい」という声と「去年のブルーインパルスの展示飛行は違法ではない」という点だけであり、反対派の活動そのものを否定するのはお門違いなのです。
中には地元住民以外が「訳も分からない理由で反対しやがって」という反対派を批判する声もありますが、これは「訳も知らずに批判しやがって」と逆に非難されるべき声です。
この辺の『声を上げるべきでない人たちが上げるべきではない声をあげている』というのが今回のモヤモヤポイントでした。